BEATMAKE

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【 ミックス・マスタリング 】2020年代はモノラルの時代?ミキシングとスマートスピーカーやIKEAとSONOSのスピーカー好調なこととの関連性

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 スマートスピーカーの普及は音楽制作者にとってどのような変化をもたらし、どこに気をつけるべきなのでしょう。違いは音質だけではありません。ステレオのモニター環境で気持ちよくなっていた音が、スマートスピーカーで鳴らした際に、最悪その音が消えているというリスクもあります。この記事では視聴環境のモノラル化傾向とその対策を紹介します。

 

スマートスピーカーの普及

米メディアVoicebotは、アメリカにおけるスマートスピーカーの普及率などに関する調査の結果を発表しました。なんとアメリカの成人6640万人ほどがスマートスピーカーを所有し、成人における普及率は同国の成人人口の1/4強に値する26.2パーセントまで成長したということです。

日本ではスマートスピーカーの認知率は約76%と高いものの、現状の普及率は約6%と米国よりは少なめな状況です。まあスマホもそうでしたがこういう新しいものは日本はいつもゆっくりめですよね。おそらくは2020年代には米国では更に普及し、日本でも後を追う形でしょう。Bluetoothスピーカーなどはもうすでに日本国内でも普及し、家に無いという人も少ないのではないでしょうか。IKEAとSonosのスピーカーの好調でさらに拍車がかかると思います。

スマートスピーカーの用途

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ソース国内のスマートスピーカー普及率は約6%、提供機能・サービスの拡大が市場成長のカギ | リリース | 電通デジタル

表の通りですが結論から言うと、スマートスピーカーの用途は圧倒的に音楽のリスニングです。「アレクサ電気つけて」はまだまだオマケの領域。DTMerやトラックメイカーにとっては嬉しい限りですよね。音楽はキングオブコンテンツだと自分は思っています。ゲームやテレビとちがい、いつでもどこでも時間がなくても何かしながらでも楽しめますからね。

スマートスピーカーの普及とミックスの関係性

スマートスピーカーの普及の勢いは米国では想像以上のものですし、日本でもそうなることは間違いないでしょう。そして、主な用途は音楽となると、当然ながらミックス・マスタリングも2020年代はスマートスピーカーでの再生を意識する必要があります。

スマートスピーカー・Bluetoothスピーカーのサウンド特性

クリエイターが最も注意すべき大きな特徴はステレオではない可能性が圧倒的に高いということです。例えばステレオで逆位相の素材をモノにして再生した場合、その音は消えたり音量が極端に小さくなったりしてしまいます。モノラル構造のものがほとんどで、中には内部でステレオの構造になっているものもありますが、一つの機体にスピーカーを二つ埋め込んでいるだけなので、聴感としてはステレオに聴こえる可能性は低いです。

すくなくとも一般的なDAWモニタリング環境のように、ニアフィールドのスピーカーが耳より外側の左右に配置され、ステレオ感を感じられるようなことは無いでしょう。

現代の音楽鑑賞スタイルとDTM DAWのミックス環境

上述の通り、いわゆるDTM用のモニタースピーカーを適切に配置してステレオ感を感じられる試聴環境は、スマートスピーカー時代の音楽鑑賞スタイルとはかけ離れた聴き方だと意識した方がいいと思います。というか5−7インチくらいのニアフィールドでモニターするという発想自体が70-80年代のものです。今の時代に

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「ステレオコンポ 生産完了製品」の画像検索結果

こんな感じの環境でじっくりスピーカーの真ん中に座って音楽を聴くって無いですよね?では自宅のDTMモニター環境は?

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おそらくこのような、70−80年代のスタイルに近い配置ではないでしょうか。

70〜80年代はレコードの時代。音楽は片面30分くらいで終わり、聴き終わったらひっくり返すなり針をあげるなりしないといけないので、レコードをターンテーブルに載せてじっくり聴くという鑑賞方法だったのですが、今となってはストリーミングで無限に流される音楽を垂れ流しで聴くというのが普通。つまりよくあるDTM環境でスピーカーの真ん中に座って聴こえる音で音楽を聴く人の方が少なくなっていて、かわりにモノラルの小さなスマートスピーカーやBluetoothスピーカーで、何かをしながら音楽を聴いている可能性の方が圧倒的に高いということです。

スマートスピーカー時代のミックス・マスタリング手法

長くミックスをやっている方ならわかる話ですが、基本はAMラジオのためのミックスに立ち返り、モノラルでの確認をしっかりやることです。いいミックス・マスタリングの定義とは、本を読めばどのような視聴環境でもちゃんと聴こえるサウンドにするとあるのではないでしょうか。しかし現実には全ての再生環境で試すのは不可能なので、その時代の主役となっている視聴方法にフォーカスすべきです。70年代に大ヒットを量産したMotownレコードは最後の試聴をかならずカーステレオで車の中で行ったという話を聞いたことがあります。その時代にもっとも音楽を消費される場所が車の中のラジオだったということですね。80年代〜90年代はステレオコンポやラジカセで、スタジオには今でもモニター用にSonyのラジカセがあったりしますね。

では今後もっとも音楽が消費される場所は?ここ数年ほどは日本では圧倒的にスマホのイヤホンやヘッドフォン、ついでスマホ・タブレットのスピーカー、小さめのBluetoothスピーカーとなっていると思います。5インチ以上のスピーカーは少数派でしょう。今後はここにスマートスピーカーでの音楽鑑賞がかなり食い込んでくるはずです。かつてステレオコンポやラジカセが家にないということがなかったのと同様に、今後スマートスピーカーのない家は無くなってきます。

つまり2020年代にはかなりの音楽がモノの環境で再生されることになります。

もっとも大きなリスクとして挙げられるのは逆相です。ステレオで逆走となった素材はモノのスピーカーで再生すると音が打ち消されて消えてしまいます。

そこで、、、

自宅でミックスしている人はこの3点を意識してみよう
  1. ミックス作業中、モニターの機能などでMONOにして確認をする
  2. できたらスマートスピーカーやBluetoothスピーカーでもモニターする
  3. ステレオ依存のギミックやミックスの作り方に少し注意を(特に逆位相)

ぶつかる音をパンの左右で音を分離したり、逆相をあえてつかって音を広げたりという演出がモノだとNG。とくに逆相はモノにした時に音を打ち消してしまいます。2のモニター環境はいかがでしょう。すでに現在もiPhoneのイヤホンやMacbookのスピーカーで一度鳴らしているという方も多いと思います。同様にモノラルのスマートスピーカーに近い鳴りのスピーカーが必須だと思います。

スマートスピーカー時代のおすすめモニタースピーカー

80-90年代にはSonyのラジカセでミックスを確認してたみたいな感覚ですね。確認用ですが、3点の理由からこちらのスピーカーがおすすめです。

  1. AUXインプットがあり、オーディオインターフェースなどのモニター切り替えから簡単に接続できる。(Google homeのようなBluetoothオンリーだとミックス中のスピーカー切り替えが不便)
  2.  スピーカーユニットが1つでリアルにモノ、さらにパッシブで低音もでる
  3. Alexa, Google homeにちかい標準的なサイズ感
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ソニー ワイヤレスポータブルスピーカー SRS−XB12
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色も選べデザインもよく、防水で普段使いも安心な良きSony感があります。ちなみに今回のテーマとずれますが、2個つなげてステレオにできるのも本気なリスナーにはうれしいですね。Boseの似たようなスピーカーもありますが、5倍くらいの価格です。残念ながら試聴した限りでは音質的にも機能的にも価格相応のメリットは感じられませんでした。

ikeaのENEBYもデザイン素敵でいいのですが、高さが結構あるのとツィーターがついてて、一般的に売られてるスマートスピーカーよりもニアフィールドよりなサウンドと思われるので、すでにお持ちのニアフィールドをオーディオインターフェースかDAW側でモノに切り替えてモニターすれば足りる気もします。ということで、上述のSRS−XB12をおすすめします。

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2020年代にむけミックス / トラックメイキングの上でモノも意識しましょう!

長くなりましたが、言いたかったことはこれだけです😅

最近の音楽ってヘッドフォンありきで結構無茶なステレオの音像を使うので、上手いことやっていきましょう!

 

【2019/8/23追記】

ついにAppleのHomepodも遅ればせながらリリースされましたね。これで御三家出揃ったわけですが、こちらも見事にモノラル構造です。ツィーターは360度に複数個配置していますが、構造やコンセプトからステレオで鳴っていることはないでしょう。残念ながらAuxインプットはないのでDAWのモニター用には適しません。

3万ちょっとと高いのでは?と思うかもしれませんが、自分も含むApple信者はこのくらいの値段なら余裕で払ってくるので、かなり普及するでしょう。モノでのミックスチェックはますます必須ですね!

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